寒い時期に焚きたい・チベット香のススメ

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季節は晩秋です。
朝夕は言うに及ばず、日中でも寒さを感じ始めたこの時期焚きたくなるのがチベット香。
ときに焚き火の匂いとも評されるチベット香の素朴で滋味のある香りがなんともいとおしく感じられる、そんな季節なんですよね。

なんですが・・・チベット香は商品数も多く、名前から香りを連想することが難しいので敬遠される向きもあります。また、上記のように素朴な香りなのでアロマオイルを使用した華やかな香りのお香に慣れていると物足りなさを感じてしまう事があるのも事実。
なので今回はチベット香のおすすめについて語ってみたいと思います。



◆チベット香の定義



広義には主にヒマラヤ諸国を中心にしてチベット仏教文化が浸透した地域で製造されるお香を指しますが、例外としてチベットの亡命政府があるインドの一部地域やチベット族が多く暮らす中国のヒマラヤ寄り地域などで作られるお香もチベット香に含まれます。更に台湾にもチベット香に触発されて類似のお香を製造しているメーカーも有りますから、地域だけで限定するのは少しむずかしいかも知れません。

狭義にはチベット古来の製法で作られたお香の事を指し、チベット文化圏で製造されていてもインド香の様にアロマオイルに浸潤させて作ったお香は除外されることもあります。
個人的には製造された地域よりもこのチベット古来の製法に則ったものをチベット香と認識しています。


では古来の製法とは何かという話ですけど、まず第一に素材をそのまま粉末にして加工もしくは粉末のまま使用するお香ということですね。
例えば何かの花やハーブを素材に使う場合、精油を抽出して練り込むのではなく乾燥させたものをそのまま粉にして混ぜ込むのが特徴。
また、お香ベースも日本や中国の線香だと椨の木を、インドやアメリカだと炭の粉を使いますが、チベットではヒマラヤスギやコノテガシワが主に使われます。
こうした独特の製法によって焚き火のような匂いと評される素朴な香りが生み出されている訳ですね。




◆おすすめチベット香



チベット香は製造するのに機械や化学薬品を必要としないので主に家内制手工業で製造されます。それだけに製造業者も多く品質もピンからキリまで。同じ業者が製造した製品でもロットによって香りに多少の差異が出るのは当たり前という状況で、それが手を出し難さに直結しています。

そんな中でも比較的厳密なレシピに基づいて製造されているのが寺院製のお香と、ブータンの製造業者であるナドーとチミの製品です。
とりあえずこれらのお香なら品質面でのハズレは無いと言っても差し支えは無いです・・・が、レシピの問題で好き嫌いがはっきり分かれるものもちらほら。

以前レビューしたカチュガキリンのターラーインセンスなんかがその代表例で、バレリアンが配合されているためバレリアン特有の臭みが自己主張してたりしますので、慣れてない人は避けたほうが吉でしょう。



それらを含めて比較的万人受けしそうなお香をピックアップしてみたいと思います。





●カチュガキリン WISDOM BLISS



まずは安定のカチュガキリン製のお香で、白檀系の香りを主体にした香りは日本人の感覚にもとても受け入れやすい物となっています。
白檀だけでなくカルダモンや乳香近縁種の樹脂なども配合されていますがアクセント程度なので香りに尖った部分がなく、はじめてのチベット香としても最適かと思われます。




●カチュガキリン ラウドボックス



続いてはまたしてもカチュガキリンのラウドボックス。
こちらはセージをメインに配合していて、ほのかに甘みのある滋味を感じる香りが特徴。煙の量も少なめなのでかなり使いやすいお香です。
暑い時期でも馴染みやすい香りなのも特徴でカチュガキリンのお香の中では一番人気ですね。





●メンツィカン ソリグストレスインセンス


こちらは寺院ではなく、インドのチベット亡命政府が運営するチベット医学暦法研究所で販売されているお香で、通常のチベット香より一回り太く成形されたお香が特徴。その太さゆえに着火しづらいという難点はありますが、独特の香ばしさのある香りはハマる人はどっぷりハマる系。系統で言えばアガル31系の薬香レシピに感じますが、実際の効能に関してはあえて言及しません(苦笑)。




●ナドー ジャジュ



ブータンのナドー製のお香は王室でも使われる高級路線のお香す。1991年までは国営企業でしたが現在は民営化。こちらのジャジュはそんなナドーのお香の中ではエントリー製品とも言えるポジションで、お手頃価格でありながらナドー特有のまろやかで磨き込まれた香りを楽しめるのが特徴。
高額製品に比べて多少シンプルな香りではありますが、そのぶん親しみやすさがあります。





●チミ グルチャンダン


私イチオシがチミのグルチャンダン。こちらもブータンのお香で、ナドーが民営化された後に独立した職人が2002年に設立した比較的新興メーカーです。ナドーの影響が強い上品な香りと新興メーカーらしいカジュアル感が特徴で、このグルチャンダンはインド香のチャンダンとは直接の関係はないものの、どことなくチャンダンを連想させる香りとブータン伝統の香りのベストミックス。これもハマり系です。







以上、これからの時期に焚きたいチベット香おすすめピックアップでした。
比較的馴染みやすいものを挙げてみましたが、これらを入り口によりディープなチベット香の世界を知って頂けると幸いです。


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